Maltego Monitorの紹介
Maltegoのリニューアルに合わせて、ソーシャルメディア分析ツールであるMaltego Monitor(旧PublicSonar)が新たにMaltegoに追加されました。
Maltego Monitorは、ソーシャルメディアの情報をリアルタイムで監視・分析し、危機管理に不可欠な情報を提供する強力なツールです。
Maltego Monitorの実際の活用例については、以下の記事で解説しております。
なぜソーシャルメディアモニタリングが必要なのか?
事件、事故、災害、デモなど、社会における様々な出来事は、公式な情報が発信されるよりも早くソーシャルメディア上で拡散されることが多々あります。
Maltego Monitorは、この膨大なソーシャルメディアデータをリアルタイムで収集・分析し、以下のようなメリットを提供します。
-
早期発見: 状況把握の遅延を防ぎ、迅速な対応を可能にします。
-
状況把握の向上: 画像、動画、位置情報、感情分析など、多角的な情報を提供し、現場の状況をより正確に把握できます。
-
追加情報の収集: 公式発表だけでは得られない、市民の生の声や現場の状況に関する詳細な情報を収集できます。
Maltego Monitorの活用事例
Maltego Monitorは様々な危機管理シナリオで活用されてきました。
いくつか具体的な事例をご紹介します。
ケース1:自然災害発生時の緊急対応
2021年にヨーロッパで発生した大規模な洪水では、Maltego Monitorが被災状況をリアルタイムで把握し、迅速な救助活動に貢献しました。
ソーシャルメディア上の画像や動画から浸水状況を可視化し、位置情報から緊急性の高い地域を特定することができました。
自然災害は、甚大な人的被害だけでなく、経済的な損失ももたらす深刻な脅威であり、迅速かつ正確な状況把握が不可欠です。
Maltego Monitorは、ソーシャルメディアの情報を活用することで、従来の方法では困難だったリアルタイムな状況把握を可能にし、的確な意思決定を支援します。
2021年にヨーロッパで発生した大規模な洪水発生時には、Maltego Monitorは被災地域からのソーシャルメディア投稿をリアルタイムで収集・分析しました。
これにより、浸水の範囲や程度、道路の通行止め状況、避難状況など、刻々と変化する現地の状況を迅速に把握することができました。
収集された情報は地図上に可視化され、被害の全体像を直感的に理解することができます。
また、画像や動画データは、被害の深刻さをリアルに伝えるだけでなく、救助活動の優先順位決定にも役立ちます。
従来、災害発生時の情報収集は、現地からの報告や公式発表に頼らざるを得ず、時間的な遅れが生じるだけでなく、情報が限定的になる傾向がありました。
Maltego Monitorを活用することで、これらの課題を克服し、より迅速かつ正確な状況把握に基づいた意思決定が可能になります。
これにより、人命救助の効率化、二次災害の防止、復旧活動の迅速化など、多岐にわたる効果が期待できます。
ケース2:交通管理におけるソーシャルメディアデータの活用
都市部における交通管理は、交通渋滞の緩和、事故の防止、円滑な交通流の確保など、複雑な課題への対応が求められます。
Maltego Monitorは、ソーシャルメディアデータを活用することで、交通管理の効率化と安全性の向上に貢献します。
オランダのハーグ市では、Maltego Monitorを6年以上にもわたり交通管理に活用しています。
監視カメラやセンサーなどの既存のインフラに加え、ソーシャルメディアデータを統合することで、より包括的な情報収集体制を構築しています。
交通事故や道路閉鎖の情報は、多くの場合、ソーシャルメディア上で公式発表よりも早く発信されます。
Maltego Monitorはこれらの情報をリアルタイムで検知し、交通管制センターに通知することで、迅速な対応を可能にします。
また、イベント開催時や交通集中時における渋滞予測や迂回ルートの案内、道路工事や事故発生時の情報提供など、市民への迅速かつ正確な情報発信にも役立ちます。
Maltego Monitorを活用することで、交通管理業務の効率化と安全性の向上を実現し、市民の快適な移動をサポートします。
ケース3:緊急事態発生時の感情分析による状況把握
事件や事故、災害などの危機発生時、市民の感情を理解することは、適切な対応策を講じる上で非常に重要です。
Maltego Monitorは、AIを活用した高度な感情分析機能により、ソーシャルメディア上の投稿から市民の感情をリアルタイムで分析し、状況把握と効果的なコミュニケーションを支援します。
2021年8月に米国議会図書館で発生した爆破予告事件では、Maltego Monitorはソーシャルメディア上の投稿を収集し、市民の感情を分析しました。
その結果、多くの市民が「混乱」を感じていることが明らかになりました。
この情報は、当局が適切な情報発信を行う上で非常に重要な手がかりとなりました。
単に「ネガティブ」な感情が多いと把握するだけでなく、「恐怖」「怒り」「悲しみ」「混乱」といったサブ感情を分析することで、より具体的な状況把握が可能になり、効果的なコミュニケーション戦略を立てることができます。
Maltego Monitorの感情分析機能は、危機発生時の状況把握だけでなく、平常時のリスクモニタリングにも活用できます。
特定の地域やトピックに関する感情の推移を監視することで、潜在的なリスクを早期に察知し、未然に防ぐための対策を講じることが可能になります。
ケース4:リアルタイムな群衆の把握
大規模イベントやコンサート、パレードなど、多くの人が集まる場所では、群衆の安全確保が最重要課題となります。
興奮状態にある群衆は、予測不可能な行動をとる可能性があり、パニックや将棋倒しなどの危険な状況に発展するリスクも潜んでいます。
Maltego Monitorは、そのようなリスクを早期に察知し、的確な対策を講じるための強力なツールとなります。
UEFA EURO 2021決勝戦のような大規模イベントでは、ソーシャルメディア上に膨大な量の情報がリアルタイムで投稿されます。
Maltego Monitorを活用することで、これらの情報を効率的に収集・分析し、群衆の動向や潜在的なリスクをリアルタイムで把握することが可能になります。
例えば、特定のエリアへの過度な集中や、暴徒化の兆候などを早期に検知することで、警備体制の強化や迂回ルートの案内など、迅速かつ適切な対応が可能になります。
また、Maltego Monitorは位置情報に基づいた分析も得意としています。
これにより、群衆の密度や移動経路を可視化し、危険な混雑が発生しやすいエリアを特定することができます。
さらに、ソーシャルメディア上の感情分析を通じて、群衆の興奮度や不安レベルを把握することも可能です。
これらの情報を総合的に分析することで、より効果的な群衆管理を実現し、安全なイベント運営に貢献します。
ケース5:自然災害発生時の初動対応
2021年11月16日にオランダで発生した地震のケースでは、Maltego Monitorは地震発生から1分以内に最初の4件の投稿を検知し、自動アラートを地方自治体に送信しました。
気象庁やニュース報道よりも早く情報をキャッチすることで、緊急サービスは迅速にリソースを配備し、必要な支援を提供することができました。
Maltego Monitorは、災害発生直後から、被災状況に関する情報(画像、動画、位置情報、被災者の声など)をリアルタイムで収集・分析します。
これらの情報は、救助活動の優先順位決定、避難指示の発令、支援物資の調達など、様々な意思決定に役立ちます。
また、ソーシャルメディア上の感情分析を通じて、被災者の不安や恐怖の度合いを把握することで、精神的なケアを含む適切な支援を提供することも可能になります。
これらのケーススタディが示すように、Maltego Monitorは、公共の安全と危機管理における様々な課題を解決するための強力なツールです。
ソーシャルメディアの力を最大限に活用することで、より安全で安心な社会の実現に貢献します。
まとめ
Maltego Monitorは、Maltegoのオールインワン調査プラットフォームに統合されています。これにより、ソーシャルメディアデータだけでなく、様々なオープンソース情報(OSINT)を組み合わせた包括的な調査が可能になります。
弊社はMaltegoの正規リセラーとして、皆様に最適なソリューションを提供いたします。Maltego Monitorの導入から運用まで、専門スタッフがお客様をサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。