概要
Silo Workspace は、調査員が安全かつ匿名で調査対象に直接アクセスするための調査基盤です。ここでは、製品の位置づけ、Managed Attribution という考え方、主な特長と機能、活用例、提供形態を順に説明します。
Silo Workspace とは
脅威インテリジェンスやOSINTの調査では、アラートやフィードを眺めるだけでは全体像はつかめず、調査員が自ら対象のサイト、SNS、フォーラム、ダークウェブに踏み込んで確認する必要があります。しかし通常の端末とネットワークからアクセスすると、接続元から組織が特定される、調査対象のサイトからブロックされる、マルウェアに感染するといったリスクが伴います。
Silo Workspace は、こうしたリスクを取り除いた状態で「対象に直接触れる」ための調査基盤です。ブラウザをはじめとするすべてのアプリケーションはAuthentic8のクラウド上の分離環境で実行され、調査員の端末には画面の描画結果だけが届きます。インターネットへの出口はAuthentic8が世界各地で運用するノードから選択でき、調査対象からは現地の一般ユーザーとしか見えません。
また Silo Workspace は、他の調査ツールを安全に使うための土台としても機能します。ツールの種類に応じて、次の3通りの取り込み方があります。弊社で取り扱う製品を例に挙げると、以下のようになります。
- デスクトップアプリとして分離環境内で動作させる
例:Maltego。ブラウザで収集したデータを貼り付けて分析するといった、アプリ間の連携も分離環境内で完結します。TelegramやSignal、LibreOfficeなども同じ方法で利用できます。 - Silo Marketplace から呼び出す
例:Fivecast ONYX。Authentic8が審査したパートナー製品や拡張機能を、カタログから選んでワークスペースに追加します。 - ウェブサービスとしてワークスペースに登録する
例:Google Threat Intelligence。ブラウザで利用する製品であれば、Silo Marketplace に掲載がなくても、対象URLを登録することで同様に利用できます。
上記はいずれも一例です。ここに挙げていないツールも、デスクトップアプリ、Silo Marketplace の掲載製品、ウェブサービスのいずれかに該当すれば同じ方法で取り込めます。どの方法でも接続元はSiloの出口ノードになり、Siloは特定のインテリジェンス提供元に紐づかないため、複数の情報源を安全に併用できます。
Managed Attribution とは
Managed Attribution(マネージド・アトリビューション)とは、オンライン調査において「誰が、どこから、どのような端末でアクセスしているように見えるか」を調査員側で意図的に制御する技術・手法です。単に接続元IPを隠すだけでなく、IPアドレスの種別(データセンター、一般家庭のISP、携帯キャリア等)、地域、ブラウザやOSの特徴(フィンガープリント)、言語やタイムゾーンといった要素を、調査対象の環境に合わせて組み立てます。これにより、調査対象のサイトからブロックされたり、海外からのアクセスとして別のコンテンツを見せられたり、調査活動そのものが組織に紐づけられたりすることを防ぎます。
VPNや匿名ブラウザは接続元IPを隠すことはできますが、その他の要素までは制御できず、多くの調査対象サイトではVPN経由のアクセス自体が検知・遮断されます。Silo Workspace は、Managed Attribution をクラウド分離環境と組み合わせて提供する製品です。
主な特長
- 調査員の端末を脅威から切り離す(分離実行)
すべてのウェブコードとアプリケーションはクラウド上の分離環境で実行され、調査員の端末には画面の描画結果だけが届きます。マルウェアや追跡スクリプトが端末や組織のネットワークに到達することはありません。 - 調査員の身元と所在地を隠す(Managed Attribution)
世界各地の出口ノードとブラウザ・フィンガープリントの制御により、調査対象からは現地の一般ユーザーとしか見えない状態で調査できます。 - 収集から分析まで、ひとつのワークスペースで完結する
ブラウザ、メッセージングアプリ、分析ツール、翻訳、キャプチャ、ストレージをひとつの環境にまとめ、調査中に環境やツールを切り替える必要がありません。 - 組織としてポリシーとログで統制する
管理者が利用できる地域、出口ノードの種類、データ転送、拡張機能の可否をポリシーで制御し、すべての活動を暗号化されたログとして記録します。
主な機能
- Managed Attribution Network(マネージド・アトリビューション・ネットワーク)
Authentic8が世界各地で運用する700以上の出口ノード(180拠点)を経由してアクセスします。調査内容に応じて出口ノードの種類を選択できます。- データセンター:高速で安定しており、一般的なサイト調査やファイル取得に適しています。
- ISP(有線ブロードバンド):レピュテーションの高い一般ユーザーのIPを使います。データセンターのIPを遮断するSNS等に適しています。
- 携帯キャリア/固定無線:モバイルユーザーとして振る舞う必要がある調査に適しています。
- ダークウェブ相互接続:追加ソフトウェアなしでTorネットワークにアクセスできます。
一般のトラフィックに紛れる共有ノードのほか、任務専用の専用ノードも選択できます。IPアドレスは約180日ごとにローテーションされ、2年間は再利用されません。紛争や災害など特定地域で急に調査需要が生じた際には、Rapid Response ノードが先行して展開されます。
- 分離されたマルチアプリ・ワークスペース
ブラウザだけでなく、TelegramやSignalなどのメッセージングアプリ、Maltegoなどの分析ツール、LibreOffice、Obsidian、ターミナルを、同じ分離環境・同じ出口ノードのもとで同時に利用できます。Telegramでクリックしたリンクは同じ地域設定のブラウザで開き、ブラウザでコピーしたデータはMaltegoに貼り付けて分析できます。任務ごとにワークスペースを保存・起動でき、ブラウザの状態、認証情報、アプリの状態をセッションをまたいで保持します。ブラウザ・フィンガープリント(OS、言語、タイムゾーン等)は任務の所在地に合わせて構成できます。 - 調査を効率化する標準ツール
- Silo Collector:同じサイトを日次・週次で確認するような定型的な収集を自動化します。収集時のフィンガープリント、モバイル端末エミュレーション、対象地域からのアクセスと現地時刻に合わせた実行時刻を設定できます。
- Silo Gofer:複数の検索を1クリックで同時に実行します。
- Silo Case Manager:調査中に閲覧したコンテンツを自動でキャプチャします。
- Silo Translate:海外サイトの画面をページ表示のまま翻訳します。翻訳リクエストが調査対象に露見しません。
- スクリーンショット・注釈、動画ダウンロード、ノート作成の各機能を備えています。
- Silo Drive:暗号化された個人用・共有ストレージです。収集した資料をチームで共有できます。
- 拡張機能と Silo Marketplace
Chrome拡張機能を、管理者が定めた許可リストのもとで分離環境内で利用できます。Silo Marketplace では、Authentic8が審査した拡張機能と、Fivecast ONYX、ShadowDragon等のパートナー製品をSilo環境内から利用できます。掲載のないウェブサービスも、カスタムWebappとして追加できます。 - Silo Nexus AI
調査を支援するAIアシスタントが標準で付帯します(1ユーザーあたり1日10プロンプトまで。無制限利用はアドオン)。閲覧中のコンテンツから注目すべき人物・組織・話題を自動で注釈し、回答には根拠となるURLと推論の経路が示されます。問い合わせは調査員や組織の情報と切り離して外部AIに送られ、内容はモデルの学習に使われません。 - 統制と監査
管理者は、利用できる地域や出口ノードの種類、ファイルのアップロード/ダウンロード、コピー&ペースト、拡張機能の利用可否をポリシーで制御できます。すべての操作は顧客管理の暗号鍵で保護されたログとして記録され、API経由でSIEM等に連携できます。SAMLによるSSOにも対応しています。
活用例
- サイバー脅威インテリジェンス
脅威アクターのTTP・IOC調査、データ侵害の監視、脅威指標のエンリッチメント - インシデント対応
SOCアラートのトリアージと検証、不審なドメイン・URLの安全な確認 - OSINT・公開情報収集
SNS、フォーラム、ダークウェブの直接調査、カウンターインテリジェンス、兆候と警告 - 金融犯罪・コンプライアンス
マネーロンダリング対策、強化されたデューデリジェンス、暗号資産の不正取引追跡 - 不正・ブランド侵害
偽アカウント・偽サイト・模倣品の調査、トラスト&セーフティ - 企業・物理セキュリティ
役員・従業員の保護、内部脅威、サプライチェーンの調査、地政学的事象の監視
提供形態・環境
- 形態:クラウドサービス(SaaS)です。ブラウザやアプリの実行、通信、データの保存はすべてAuthentic8のクラウド上で行われ、調査員の端末には画面の描画結果のみが届きます。
- 接続方法:調査員の端末に専用クライアントアプリをインストールして接続する方法と、手元のブラウザからウェブクライアントで接続する方法の2通りがあります。いずれの場合も端末側で処理は行われません。
- 認証・統制:SAMLによるSSO、管理コンソールによるポリシー制御、顧客管理鍵によるログ暗号化に対応しています。
- 第三者認証:FedRAMP、AICPA SOC、ISO 27001、CMMCほかを取得しています。
ライセンス
Silo Workspace はユーザー単位・年額のライセンスです。3つの基本プランと、必要に応じて追加するアドオンで構成されます。各プラン・アドオンの価格については、お問い合わせください。
基本プラン
3つの基本プランがありますが、機能はすべてのプランで共通です。異なるのは、アクセス元として選択できる出口ノードの地域(リージョン)の数だけで、Localは1リージョン、Multi-Regionは2リージョン、Globalは全リージョンから出口ノードを選べます。
| Local | Multi-Region | Global | |
|---|---|---|---|
| 利用できるリージョン※1 | 任意の1リージョン | 任意の2リージョン | 全リージョン |
| 分離ブラウザ・マルチアプリ・ワークスペース | |||
| Silo Collector(収集の自動化) | |||
| 拡張機能管理・Silo Marketplace | |||
| 管理者機能(ポリシー、ログ、SSO) | |||
| Silo Nexus AI(AIアシスタント) | 1日10プロンプトまで | 1日10プロンプトまで | 1日10プロンプトまで |
| Silo Nexus AI 無制限利用 | アドオン | アドオン | アドオン |
| Silo Sovereign Access※2 | アドオン | アドオン | アドオン |
- ※1選択できるリージョンは、北米/欧州/中南米/アジア太平洋/アフリカ・中東/ダークウェブ/Rapid Response ノードの7区分です。ダークウェブも1リージョンとして数えます。例えば、日本や周辺地域からアクセスしているように見せる調査と、ダークウェブの調査の両方を行う場合は「アジア太平洋+ダークウェブ」の2リージョンとなり、Multi-Regionプランが該当します。
- ※2中国など、通常の出口ノードでは到達できないインターネット主権規制地域へのアクセスを追加するサービスです。詳細はアドオンをご参照ください。
最新情報にアップデートするよう心がけていますが、予告なく変更になる可能性がございます。
アドオン
基本プランに加え、必要に応じて以下を追加できます。
- Silo Sovereign Access
中国など、インターネット主権規制が敷かれた地域の現地ユーザーとしてアクセスするための専用サービスです。こうした地域では、企業登記情報、SNS、政府系サイトなどが海外IPを遮断しており、通常のVPNやプロキシも検知・遮断されます。Silo Sovereign Access は、通常のマネージド・アトリビューション・ネットワークとは別に調達された回線を使用し、現地のIPアドレスとブラウザ・フィンガープリントで対象にアクセスします。分離環境、監査ログ、ワークスペースは通常の Silo Workspace と共通です。 - Silo Nexus AI 無制限利用
標準で付帯するAIアシスタントの1日10プロンプトの上限を撤廃します。
FAQ
- VPNや匿名ブラウザとは何が違いますか?
- トライアルは可能ですか?
- 追加費用がかかる機能はありますか?
- 他の脅威インテリジェンス製品と併用できますか?
- 収集した情報は証拠として保全できますか?
- 中国やロシアのサイトにアクセスできますか?


