Censys CLI
インターネット上の資産調査や脆弱性管理において、Webブラウザを介した操作だけでなく、コマンドラインからの効率的なデータ取得や自動化が求められる場面が多くあります。
Censysが提供する公式コマンドラインツール「Censys CLI」を利用すれば、ターミナルから直接Censys Platformのデータセットにアクセス可能になります。本記事では、このツールの概要や実務で役立つコマンドとフラグの活用法までを詳しく解説します。
Censys CLIとは?
Censys CLIは、Censysのデータをターミナル上で検索・分析するためのツールです。APIを直接操作するスクリプトを記述する手間を省き、シンプルなコマンド体系で調査業務をサポートします。
- 効率的なデータ取得: IPアドレスやドメインを指定するだけで、詳細情報を即座に取得できます。
- 自動化・パイプライン連携: 標準出力(JSONやYAML)を他のコマンド(
jqなど)に渡すことで、特定のリスト作成や加工をスムーズに行えます。 - Web UIとの一貫性: Censys Query Language (CenQL) をそのまま利用して検索や集計を実行可能です。
APIクレジットの消費について
Censys CLIは内部でAPIを使用するため、コマンドの実行(検索やデータの取得)に応じてAPIクレジットが消費されます。
特に旧Coreプラン以上(新Core NEOプラン以上)の有料プランをご利用の場合、Webブラウザ(UI)での操作は無制限ですが、CLIを含むAPI経由の操作はクレジット消費の対象となりますのでご注意ください。
※ 本記事では、プラン刷新にともなう新旧のプラン名を併記しています。プラン体系の変更内容については下記の記事をご参照ください。
プランごとの消費モデルの詳細については、以下の解説記事をご参照ください。
インストールについて
Censys CLIは、Windows、macOS、Linux の各OSに対応しています。 また、Apache 2.0ライセンスのオープンソースとして公開されています。詳細なインストール手順や、環境ごとのバイナリのダウンロードについては、以下をご確認ください。
macOS / Linuxをお使いの場合は、Homebrewが最も手軽です。
brew install censys/tap/cencli
※ censys/tap/cencli と正確に指定してください。brew install censys は保守されていない旧公式で、cencli とは無関係です。
初期設定
インストール完了後、利用を開始するにはCensys PlatformのAPIトークン設定が必要です。
- APIトークンの登録(必須)
Personal Access Token (PAT) を登録します。
censys config auth add -
組織IDの登録(任意)
所属する組織のID(Organization ID)を登録することで、組織固有の権限やデータセットを利用可能になります。
censys config org-id add※ Organization IDは、Censys Platformの Settings > Personal Access Tokens タブ内の「Current Organization」欄から確認できます。

※コマンド実行後、プロンプトに従ってIDを入力してください。
主要コマンド一覧
Censys CLIには、調査の目的に応じて主に5つのコマンドが用意されています。
view: 特定の資産(ホスト、証明書など)の詳細情報を表示します。search: クエリ言語(CenQL)を使用してインターネット全体を検索します。aggregate: 検索結果に基づいた統計・集計(レポート作成)を行います。history: 資産の過去の変更履歴を表示します。censeye: 特定のホストに関連する他の資産を識別し、脅威ハンティングを支援します。
view:資産の詳細確認
特定のIPアドレス、ドメイン、または証明書ハッシュ(SHA-256)を指定して、その資産が持つ詳細情報を取得します。調査の起点となる基本的なコマンドです。
- 基本構文:
censys view <asset> <flags>
※<asset>には、調査したいIPアドレス、ドメイン名、または証明書のハッシュ値を入力します。 - 使用例:
censys view 8.8.8.8
※ Google Public DNS(8.8.8.8)の現在の状態(開いているポート、位置情報、ソフトウェア情報など)を表示します。
search:インターネット検索
Censys Query Language (CenQL) を使用して、条件に合致するすべての資産を検索します。Web UIの検索バーと同じ検索が可能です。
- 基本構文:
censys search <query> <flags> - 使用例:
censys search 'host.services:(protocol=SSH and not port=22) and host.location.country=Russia'
※ ロシア国内で、標準以外のポートでSSHを実行しているホストを検索します。
aggregate: 統計・集計
検索結果に基づいて、特定のフィールドの分布状況を集計します。Web UIの「Report Builder」機能に相当し、傾向分析に役立ちます。
- 基本構文:
censys aggregate <query> <field> <flags> - 使用例:
censys aggregate 'web.endpoints.path: * and NOT web.endpoints.path= "/"' web.endpoints.path
※ Webプロパティ上のルート以外のパスの内訳を集計します。
history:履歴の確認
ホスト、Webプロパティ、証明書の履歴データを取得し、資産の変更状況を表示します。期間を指定しない場合、デフォルトで過去7日間の履歴が取得されます。なお、証明書の履歴データを取得するには旧Threat Huntingプラン(または現在のAdversary Investigationプラン以上)をご契約の組織のみへのアクセス権が必要です。
- 基本構文:
censys history <asset> <flags> - 使用例:
censys history 186.169.70.05
※ ホストの過去7日間の履歴を取得します。
censys history 3daf2843a77b6f4e6af43cd9b6f6746053b8c928e056e8a724808db8905a94cf
※ 証明書の過去7日間の履歴を取得します。
| フラグ | 説明 | 例 |
|---|---|---|
-s, --start |
開始日時(RFC3339形式)。startとendの両方が指定された場合、その正確な期間が定義されます。 | censys history 8.8.8.8 --start 2025-10-01T00:00:00Z |
-e, --end |
終了日時(RFC3339形式)。startとendの両方が指定された場合、その正確な期間が定義されます。 | censys history 8.8.8.8 --end 2025-10-01T00:00:00Z |
-d, --duration |
使用する時間枠を指定します(デフォルトは7日間)。 使用可能な単位: h(時間), d(日), w(週), y(年)。
挙動の注意点
|
censys history 8.8.8.8 --start 2025-01-01T00:00:00Z --duration 30d |
censeye:関連資産の特定
調査対象のホストから「フィールドと値のペア」を自動抽出し、それと同じ特徴を共有する他の資産がいくつあるかを表示します。これにより、関連するインフラへのピボットや、スレットハンティングクエリの作成が可能になります。
出力には、Censys Platform Web UIで開けるクリック可能なクエリが含まれます。このコマンドは旧Threat Huntingプラン(または現在のAdversary Investigationプラン以上)のアクセス権を持つ組織のみ利用可能です。
- 基本構文:
censys censeye <asset> [flags] - 出力内容: デフォルトでは以下の2列のテーブルが表示されます。
- Count: そのクエリに一致するインターネット上の資産数
- Query: 生成されたクエリ(クリック可能)。設定した「希少性(Rarity)」の範囲内のクエリには
*マークが付き、「興味深いピボット」とみなされます。
- 使用例:
censys censeye 117.72.181.104
※ 指定IPの共有フィールド値を検索します。
| フラグ | 説明 | 例 |
|---|---|---|
-m, --rarity-min |
「興味深い」とマークするための最小ホスト数。これ以下のカウントのクエリも表示されますが、マークは付きません。 | censys censeye 8.8.8.8 -m 5 |
-M, --rarity-max |
「興味深い」とマークするための最大ホスト数。これ以上のカウントのクエリも表示されますが、マークは付きません。
※カウントが [min, max] の範囲内の場合にマークされます。 |
censys censeye 8.8.8.8 -M 200 |
-I, --interactive |
インタラクティブテーブル(TUI)で結果を表示し、ブラウザで直接クエリを開けるようにします。 | censys censeye 8.8.8.8 -I |
--include-url |
出力に search_url フィールドを含めます。スクリプトで raw 出力を使用する場合に便利です。 |
censys censeye 8.8.8.8 --raw --include-url |
-O, --output-format |
出力形式を指定します(json, yaml, tree, short)。デフォルトは short です。 | censys censeye 8.8.8.8 -O yaml |
組織関連コマンド
org コマンドを使用すると、クレジット残高、メンバー、組織情報などの詳細を確認できます。
- クレジット詳細の確認:
censys org credits
※ クレジット残高、自動補充設定、有効期限などを表示します。 - 組織詳細の取得:
censys org details
※ 組織名、ID、作成日、メンバー数などを表示します。 - メンバー一覧の表示:
censys org members
※ 全メンバーのメールアドレス、名前、役割、最終ログイン時間を一覧表示します。
その他の共通フラグ
以下のフラグは、多くのコマンドで共通して使用できます。
| フラグ | 説明 |
|---|---|
-h, --help |
指定したコマンドのヘルプ情報を表示します。 |
-i, --input-file |
資産リストをファイルから読み込みます。 |
-o, --org-id |
コマンドで使用する組織IDを指定します(設定済みのIDをオーバーライドします)。 |



