Global Crypto Adoption Index とは
ブロックチェーン分析企業のChainalysisは2026年9月23日、暗号資産の普及度を国別にランキングした「2026 Global Crypto Adoption Index」を公開しました。117か国を対象に、2025年7月〜2026年6月のオンチェーンデータを分析しています。1位はブラジルで、日本は2025年版の19位から4位へと大きく順位を上げました。
Global Crypto Adoption Index は、暗号資産が一般の利用者にどれだけ広がっているかを国別に比較する指数です。2026年版では算出方法を刷新し、次の4つの指標で各国を評価しています。
- サービス流入:取引所やDeFiなどのサービスが受け取った価値(1人あたりGDPで補正)
- 国内P2P送金:同じ国の中で個人ウォレット同士が直接やり取りした価値
- 国境を越える送金:個人間、個人とサービスの間、企業間で国境をまたいだ価値
- 残高:個人ウォレットと、取引所などのサービス上に保有されている暗号資産の量
各指標を購買力平価(PPP)で重み付けして0〜1に正規化し、4つの幾何平均を総合スコアとしています。1つの指標だけが突出した国より、すべての指標で安定して高い国が上位になる仕組みです。2025年版とは指標も対象国数(151か国→117か国)も異なるため、前年の順位と比べるときはこの点に注意が必要です。
本記事で使う用語
- オンチェーン:ブロックチェーン上に記録された取引やデータ。この指数もオンチェーンのデータをもとに算出しています
- ステーブルコイン:米ドルなどの法定通貨と価値が連動するよう設計された暗号資産。代表例はUSDTやUSDCです
- DeFi(分散型金融):銀行や取引所などの仲介者を介さず、ブロックチェーン上のプログラムで動く金融サービス
- P2P送金:取引所などのサービスを経由せず、個人のウォレット同士で直接行う送金
2026年のランキング上位国
1位はブラジルで、4つの指標すべてで4位以内に入りました。2位は米国、3位はナイジェリア、4位は日本、5位は韓国です。次の表の「サービス流入」から右の4列は、その指標での順位です。
| 総合順位 | 国 | サービス流入 | 残高 | 国内P2P送金 | 国境を越える送金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ブラジル | 3 | 4 | 3 | 2 |
| 2 | 米国 | 1 | 1 | 20 | 11 |
| 3 | ナイジェリア | 18 | 18 | 1 | 1 |
| 4 | 日本 | 4 | 7 | 10 | 4 |
| 5 | 韓国 | 5 | 2 | 12 | 12 |
| 6 | インド | 2 | 3 | 16 | 16 |
| 7 | ウクライナ | 8 | 8 | 6 | 6 |
| 8 | タイ | 25 | 6 | 5 | 8 |
| 9 | 南アフリカ | 33 | 16 | 4 | 3 |
| 10 | カナダ | 15 | 9 | 7 | 7 |
11位から20位は、メキシコ、中国、ドイツ、インドネシア、オーストラリア、ロシア、英国、ベトナム、フィリピン、トルコの順です。
日本は19位から4位へ大きく上昇
日本は2025年版の19位から、2026年版では4位へと15ランク順位を上げました。サービス流入と国境を越える送金でそれぞれ4位、残高で7位、国内P2P送金で10位と、すべての指標で上位に入っています。2025年版で上位20か国に入っていたアジアの国の中では、日本の上昇幅が最も大きくなっています。
| 国 | 2025年版 | 2026年版 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 19位 | 4位 | 15ランク上昇 |
| 韓国 | 15位 | 5位 | 10ランク上昇 |
| タイ | 17位 | 8位 | 9ランク上昇 |
| インド | 1位 | 6位 | 5ランク下降 |
| インドネシア | 7位 | 14位 | 7ランク下降 |
| ベトナム | 4位 | 18位 | 14ランク下降 |
| フィリピン | 9位 | 19位 | 10ランク下降 |
| パキスタン | 3位 | 21位以下 | 18ランク以上下降 |
国内の統計でも、利用者は増え続けています。日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の月次統計では、国内の暗号資産交換業者の口座数は2019年6月末の297万口座から2026年6月末には1,444万口座となり、7年間で約5倍になりました。直近1年の増加率は15%と伸びは落ち着きつつありますが、利用者の裾野は着実に広がっています。
なお、順位の変化には、日本での利用の広がりだけでなく、算出方法の変更も影響しています。2025年版の内容は、次の記事で紹介しています。
2026年の主なトレンド
対象期間中、暗号資産全体の時価総額は約50%減少しましたが、オンチェーンの経済活動は9.5兆ドルから9.4兆ドルへの1.6%減にとどまりました。投機以外の用途が広がったことが、底堅さを支えています。主な動きは次のとおりです。
- 個人間送金の急増:国内の個人ウォレット間の送金は568億ドルから2,287億ドルへ、302.9%増えました。その96%はステーブルコインです
- 国境を越えるステーブルコイン送金:1,242億ドルから2,203億ドルへ、77.5%増えました。1件あたりの平均は約3,000ドルで、日常的な支払いの規模です
- 小口取引の増加:100ドル未満の送金は78.4%増、100〜1,000ドルの送金は58.6%増です
- ステーブルコイン残高の安定:残高全体が大きく減る中、ステーブルコインの残高は980億〜1,090億ドルで推移し、残高全体の22.5%を占めるまでになりました
普及の裏側にあるリスクとまとめ
利用が広がる一方で、暗号資産を悪用した犯罪も増えています。警察庁の統計では、2026年上半期に詐欺の被害金を暗号資産で送らせた被害(暗号資産送信型)は409.6億円で、前年同期から74.6%増えました。犯罪収益の移転にはステーブルコインも使われ、中間ウォレットやミキサー、クロスチェーンブリッジを使って資金の出所を分かりにくくする手口もあります。こうした資金の流れを追うには、ブロックチェーンをまたいで取引を分析する仕組みが欠かせません。
関連製品Chainalysis暗号資産の資金の流れを追跡するReactorやRapidなどの製品と、中間ウォレット・ミキサー・クロスチェーンブリッジといった資金洗浄の主な手口を紹介しています。
2026年版のポイントは次の3つです。
- ブラジルが1位となり、日本は19位から4位へ大きく順位を上げました。韓国も5位に入っています
- 時価総額が半減する下落局面でも、オンチェーンの経済活動は1.6%減にとどまりました
- 個人間送金や国境を越える送金でステーブルコインの利用が広がり、相場に左右されにくい使われ方が増えています
出典
- The 2026 Global Crypto Adoption Index(Chainalysis、2026年9月23日公開)
- The 2025 Global Adoption Index(Chainalysis、2025年9月2日公開)
- 会員の暗号資産取引状況表(月次、2026年8月分)(日本暗号資産等取引業協会)
- 令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁、2026年7月31日)
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